文化財指定

文化財指定

文化財指定

秘窯の里として知られる伊万里市大川内山の「大川内鍋島藩窯跡」が今月中にも、国史跡として公告される。二十五年前に申請した際、いったん国の答申が出ながら、地権者の反対でとん挫していた史跡指定がようやく実現する。
市は一九七八年二月、文化庁へ史跡指定を申請。同庁は同年三月、文部大臣へ指定答申を出したが、地権者の一部が反対。指定の公告ができない異例の状態で二十五年が経過していた。

文化財保護法では、指定に地権者の承諾はいらないが、文化庁は「地権者の理解が前提」としている。

未承諾者の土地(約三千五百平方‡b)には重要な「登り窯」の一部があったため、市は再三にわたり説得を続けたが困難と判断。九九年に文化庁と協議し、反対範囲を除いて再申請する方針を固めた。

市は四年がかりで三代、四代にわたり全国に広がった地権者を捜索。土地の所有者百八十一人から承諾を得て、今年四月末に再申請した。
国史跡指定となるのは三方を岩壁や急な山で囲まれた約八万四千平方‡b。陶工屋敷跡や細工屋敷跡などが、江戸時代の御用窯そのままに残存している。
市は「大川内山は空間が特別で素晴らしく、窯をこれだけ広範囲に指定したのは全国的にも珍しい」と話す。指定後は学識関係者らによる史跡保存整備策定委員会を設置。指定地の公有化を進め、発掘調査の成果に基づき、保護と活用を図る。

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